e-ラーニングの歴史 ~過去・現在を紐解き、これからの人材育成を考える~
2023.10.24 (最終更新:2023.11.30)
現在のオンライン学習や企業研修、人材育成に必要不可欠と言える、e-ラーニング。
そんなe-ラーニングはどのようにして生まれ、発展してきたのでしょうか。
今回の記事ではe-ラーニングの変遷や歴史を紐解いてきながら、そしてe-ラーニングのこれからについて考えていきます。
初めに、そもそもe-ラーニングとは何なのかについて軽く触れておきましょう。
e-ラーニングとは、「コンピュータやインターネットを用いた学習形態」の事を指します。
パソコンはもちろんスマートフォンを用いた学習も、e-ラーニングです。
それではまず、e-ラーニングの「現在」について考えていきます。
世界的な新型コロナウイルスの流行、歴史の流れからe-ラーニングの今はどうなっているのかを紐解いていきます。
【e-ラーニングの歴史①】e-ラーニングの現在
新型コロナウイルスの流行により、社会は大きく変化しています。
その中で、eラーニングはどんな役割を果たしているのでしょうか。
テレワークの移行に伴う需要の増加
外出自粛による、勤務形態の変化に伴い、e-ラーニングを利用する企業は増加しています。
2020年度のe-ラーニング国内市規模は、前年比4.5%増の2460億円になるとの予測が出ており、遠隔地での学習の需要が高まっていると言えるでしょう。(日本経済新聞:矢野研究所、国内e-ラーニング市場調査結果を発表 より)
個人向けと法人向けの両方で利用者が増えているのが現状です。法人向け(BtoB)市場では、人材育成への投資の活発化、e-ラーニングの学習形態としての浸透もあり、前年比5.2%増になる見込みです。個人向け(BtoC)市場においても、情報通信サービスの向上による提供サービスの進化、オンラインでのコーチングサービスの登場により市場は前年比8.8%増になる見込みが出ています。(矢野経済研究所:2019年度の国内e-ラーニングの市場規模はユーザー数の着実な増加、提供サービスの増加を受け市場拡大を継続 より)
e-ラーニングは今後大きな役割を担うと言えるでしょう。
テレワーク移行支援サービス、無料コンテンツの拡充
テレワークへの移行に伴い、企業の勤務体系も大きく変化しています。
時期が新人研修のタイミングと重なった事も、大きくe-ラーニングの需要を高めました。このタイミングで、e-ラーニングを本格的に使い始めた企業も多いでしょう。
また、テレワークへの移行はほとんどの企業が初めての試みということもあり、注目を集めているのが支援する講座の無料配信の動きです。
新人研修のコンテンツに関しても、無料で提供するサービスが多く登場しており、「AEON e-ラーニング」や「東芝」は無償提供をしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止する為の無料e-ラーニングコンテンツも開発されました。
内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、総務省、経済産業省はテレワークやe-ラーニングといった支援サービスを集約したWebサイト「#民間支援情報ナビ/VS COVID-19」を公開しています。
多くの支援サービスやe-ラーニングコンテンツが登場しているのが現状です。
e-ラーニングの市場は拡大傾向
現在も多くの企業にe-ラーニングは浸透しています。
日本能率協会マネジメントセンターのアンケートによると、企業でのe-ラーニング実施率は80%と、2014年の調査から⒈3倍に増加しています。(e-ラーニングの実施状況/J M AM 20204月)
これからのe-ラーニング市場についても、BtoC市場では、学習塾や予備校を中心に提供される映像授業や、通信教育で提供される教育コンテンツ、オンライン語学レッスンなどにおけるe-ラーニングサービスが堅実に伸びています。
BtoB市場でも、スマートフォンやタブレット端末の一般化により学習ツールが多様化されたこと、そして現在の社会情勢から見ても企業の人材育成ニーズの活性化も相まって、e-ラーニンングはこれまで以上に多くの業種、企業に浸透していくと見られます。
また、クラウド環境の進展によりe-ラーニングは使いやすさを増しています。
これからもe-ラーニング市場は拡大していくと見られています。
【e-ラーニングの歴史②】e-ラーニングのこれまで
では、e-ラーニングがどのようにして生まれ、今日まで発展を遂げてきたのでしょうか。その歴史を見ていきます。
e-ラーニングの登場
e-ラーニングは、それまでの歴史上当たり前だった「紙」での通信教育を電子化しました。
コンピュータを使った学習システムの開発は、1950年代から行われてきたのですが、広くは知られていませんでした。
e-ラーニングを普及させるきっかけになったのは、1995年のWindows95の発売です。
Windows95の登場がe-ラーニングの歴史を変え、コンピュータを使った学習、研修を世の中に普及させる起爆剤となったのです。
それまでごく一部しかなかった、CD-ROMを標準装備したパソコンが大々的に発売され、
個人が持つパソコンにもCD-ROMが行き渡り、個人でのデジタル学習が可能となりました。
これを機に学習の歴史は大きく変わり、一気にデジタル学習は普及していきます。
ここからe-ラーニングという言葉が誕生しました。
CBTからWBTへの変化~e-Japan計画~
CD-ROMの特性を活かした1995年から取られていた手法は、CBT(Computer-Based-Training)と呼ばれていました。
CBTには個人が好きな時間に、好きな場所で利用できるというメリットがある一方で、
・教材の作成にコストがかかる
・配布後の教材の修正が難しい
・受講者側の進捗状況が管理者側で把握しにくい
といった課題もあったのです。
その為、広く世界で認知をされるようにはなったものの、利用されるまでには至りませんでした。
そして2000年に、大きな動きが出ます。e-ラーニングの歴史には欠かせない出来事です。
当時の森内閣が、「e-Japan構想」を打ち出したのです。
このe-Japan構想には、5年以内に超高速ネットワークインフラを整備するなどの重点政策がとられていました。
翌2001年には「日本イーラーニングコンソシム」が設立され、e-ラーニング普及事業が本格的にスタートします。
インターネットは2000年代、急速に普及されていき、それに伴い、企業内のネットワークシステムも整備拡大されていきました。
そして、e-ラーニングの手法もCBTからWBT(Web-Based-Training)へ変化していきます。
それまでは個人のパソコン単位で教材を配布していましたが、インターネットで教材を配信するシステムへ変わっていきました。企業のネットワーク環境の整備により、e-ラーニングを導入する企業も増えていきました。
また、LMS(Leaning-Management-System)と呼ばれるシステムも登場し、オンライン上で教材を配信するようになりました。歴史的な大転換が起こります。
この変化により、運営側のメリットが大きく増えました。
・受講者の進捗状況を確認可能に
・教材データをサーバーに保存可能
・双方的なやり取りが可能に
・採点もオンラインで可能に
WBT、LMSの登場は、オンライン学習を劇的に変えたのです。
スマートデバイスを用いたe-ラーニング
e-ラーニングの歴史において、次なるステップはスマートフォンやタブレット端末の登場です。
スマートデバイスが登場する以前にも、個人向けのデバイスへの普及に挑戦し、導入に成功した企業もありましたが、普及はしませんでした。
以前の携帯電話では、ディスプレイの質も低く、送れる情報も限られていたのです。
スマートデバイスの登場により、高性能なディスプレイを通して、どこにいても情報にアクセスできるようになりました。
既存のパソコンのサービスを自動でスマートフォンのシステムに移行することも可能になり、コンテンツ作りのハードルも下がったと言えます。
現在では、大量のスマートフォンを一括で管理するシステムも登場しています。その為、e-ラーニングに限らずスマートデバイスの活用のハードルも下がりました。
スマートデバイスの登場により、一気にハードルが下がったe-ラーニング。企業の新人研修や学校教育まで幅広く導入されています。
このようにして、時代とともにe-ラーニングは発展してきたのです。
現在、スマートフォンは広く普及しており、スマートフォン向けのe-ラーニングコンテンツも多く登場しています。
また、電波も4G、さらには5Gと進化しており、今までよりも簡単に、そしてスムーズに、質の高いコンテンツを使用できる環境になってきています。
テキストベースであったコンテンツが、現在は動画や対面的、双方向的なコンテンツ内容になり、学び方や学ぶ場所も大きく変化しています。
またコロナウイルスの影響で幅広い世代に、業種にe-ラーニングが導入され始めています。
【e-ラーニングの歴史③】e-ラーニングのこれからを紐解く
ここまで、e-ラーニングの過去の歴史、そして現在にスポットライトを当ててきました。
では、急速にIT化が進む社会で、今後e-ラーニングは発展していくと考えられているのでしょうか。
次は、これからのe-ラーニングについて考えていきます。
対面のメリットを取り入れたe-ラーニング
コンテンツ学習のデメリットとして、「管理者との直接的なやり取りの少なさ」が挙げられます。学習者は、管理者側との密なコミュニケーションを求めていると言えます。ですから、これからのe-ラーニングは、より学習者と管理者の距離が近づき、質問しやすい、またリアルタイムで繋がれるようなシステムになっていくでしょう。
その結果、コミュニケーションのハードルが下がります。
AIの活用
e-ラーニングにおいても、AIを活用したシステムへと変化していくと見られています。
AIが自動で回答を採点し、学習者それぞれに適切なアドバイスをする事で、管理者側の負担を軽減することが可能です。実際に、このAIトレーニング型のe-ラーニングは登場しており、英語の学習現場で既に活躍を見せています。
今後の企業教育に関しても、AIの存在は大きく関わってくるでしょう。
では、具体的に最新のシステムにはどんなものがあるのでしょうか。
次はe-ラーニングの最前線に、スポットライトを当てて見ていきます。
具体的なe-ラーニングの例
e-ラーニングの最先端をこの章ではご紹介します。
JEBooster
「JEbooster」は、日本能率協会と株式会社アントレプレナーファクトリーが提供するLMSです。
既に500コンテンツの動画が既に視聴できる環境が整っており、導入後すぐに、新人研修・中堅社員研修・ロジカルシンキングなど多岐に渡るコンテンツで、階層別研修を実施できます。
また自社で所持している研修動画やセミナーの様子を撮った動画などもアップロードして登録できるだけでなく、PDFやPPTも登録できるので研修資料の共有も簡単にできる特徴があります。
価格は月額1ID1200円からとお求めやすい価格です。
「JEbooster」ならいつでもどこでもお手軽に動画研修を行うことが可能になります。
初期費用:0円
料金:月額1200円~/ユーザー
最低利用人数:11IDより
最低利用年数:6ヶ月
コンテンツ:500本以上の動画を実装済み(随時追加予定)
JEboosterはこちらから
Cloud Camps
一つ目は、クラウドキャンパスです。
クラウドキャンパスは、ソフトバンクグループのサイバー大学の運用実績から生まれたe-ラーニングクラウドシステムです。
信頼性が高く、優れたe-ラーニングシステムと言えます。
主なメリットは3つです。
・コンテンツ内装が可能
・受講者が増えても追加料金なし
・受講者が自己管理しやすいインターフェース
コンテンツを内装できるので、受講したくなる、興味の湧くe-ラーニングを実現できます。
研修のモチベーションにも繋がりやすいです。
また、受講者の数が増えても追加料金が発生しないという点も、大きなメリットです。
多くの人材が同時に学習できる、そしてコスト的にも魅力的です。
Cloud Campus
SAKU-SAKU Testing
2つ目は株式会社イー・コミュニケーションズが提供するSAKU-SAKU Testingというプラットフォームです。
主なメリットは、
・テスト機能が充実
・オリジナル問題も作成可能
・スマホでもサクサク動く
SAKU-SAKU Testingはテストに力を入れており、3000を越えるビジネスに関する問題があります。管理者側が簡単にオリジナルの問題を作ることも可能なため、
自社に合わせた育成も可能です。
もう一つの魅力はスマホ、タブレットにも対応しているという点だと言えます。
個人がスキマ時間に学習することを可能にするだけでなく、重くて動きにくい、効率を悪くする要因もありません。
累計1300社以上が導入しているため、実績も十分です。
SAKU-SAKU Testing
アントレプレナーファクトリーオンライン動画コンテンツ
最後に弊社のオンライン動画コンテンツのご案内です。
アントレプレナーファクトリーでは目的別に応じた研修を実施できる動画コンテンツを取り扱っています。
新人研修(マナー、ロジカルシンキング、プレゼンテーション他)、管理職研修(チームマネジメント、労務管理、コンプライアンス)など幅広い研修をオンラインで実施できます。
また、受講者側の進捗状況管理システムもご提供でき、これにより双方向的な人材育成がe-ラーニングで可能となります。
・どんな動画コンテンツを選べば良いか分からない。
・オンライン教育を運営できるノウハウがない。
・教育プログラム作成の経験のある社員がいない。
このようなお悩みのある方へ、無料デモID発行、社内用のe-ラーニング環境の構築・動画制作もご相談できますので、是非お気軽にご連絡ください。
enfacコンテンツはこちらから
無料デモID・動画制作のご相談はこちらから
e-ラーニングはそれまでの人材育成のあり方を変えた
今回の記事ではe-ラーニングの歴史をたどりながら、e-ラーニングを紐解いてきました。
時代とともにe-ラーニングも進化してきたことが、お分かりいただけたと思います。
現在では当たり前に使用するようになったe-ラーニング。今が歴史の中で最も世界に普及しています。e-ラーニングはそれまでの歴史の中での人材育成、教育のシステムを大きく変えたのです。
管理者と学習者が同じ空間に居なくても確認する事を可能にし、学習効率を劇的に上げたと言えます。
そして社会のIT化が進んでいくと共に、e-ラーニングのシステムもアップデートしてきました。そして、今後もアップデートされていくと予想されます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、勤務体系も大きく変化しています。人材育成の効率を上げるためにも、積極的にe-ラーニングを取り入れ、活用していきましょう。
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